まだ蒸し暑さを感じる、6月中旬のある日。


放課後、俺は当時通っていた中学の校舎裏にいた。



「お前、超弱いな!逆にやる気起きねー。
さっさと倒れろよ!!」


「……」


「ちっとは反撃してこいよな!」



ドカッ!!と鈍い音がし、コンクリートの壁に叩き付けられる。


蹴られた腹が身体の奥で痛んだ。



「おいおいおい、お前みてぇな弱っちい奴がこの学校で生きていけるわけねぇじゃん!」


「とっとと転校しちまえば?」



俺を見下ろし、下品な笑いを浮かべる2人の男子。

隣のクラスの...渡辺と三咲か。


名札にそう書いてある。


無駄に明るい色の髪が光に透けて、キラキラと光って見えた。


俺の胸ぐらを掴み上げて、また腹に蹴りが入れられる。


力なく壁にもたれかかると、鼻で笑う声が降ってきた。



「うわ、マジ弱ぇ。
もう飽きたし、他の奴やろうぜ」


「そうだな」


「次は1年でもシメるかー」



靴を引きずる音を立て、2人は生徒玄関へと歩いていく。

その後ろ姿を、俺は冷めた目で眺めていた。