だって、そうだろ?
何で俺が、榊の立場の確立のために潰されなきゃならねぇんだ?
「仲間になれとか言って振り回した次は、手下になれってか?ふざけんなよ。帰る」
回れ右をして、ドアに向かって歩き出す。
と同時に、背後から聞こえて来る榊の声。
「いいの?ここで逃げたら、『栗原修也は腰抜けだ』って学校中に広まるけど」
「他の奴が俺のことを何て言おうが、どうでもいい。興味ねぇ」
「ふーん…。そっかぁ」
残念そうなその声に、やっと諦めたかと軽く息を吐く。
「……ひとつ聞きたいんだけど、"泉里"くんって、誰?」