「...何で俺を呼び出した?あれだけ言ったのに、まだ分からねぇのか?」


「さすがに僕もそこまでしつこくないよ」


「なら、何の用だよ」


「あれ?三宅くんから聞いてない?」


「三宅?」


「僕が伝言を頼んだ男の子」



そこまで聞いて、「あぁ」と思い出す。


すっげービビりながら俺に喧嘩売ってきた、アイツか。



「『次の標的はお前だ』とか言われたけど、どういう意味だ?」


「どういうって...そのまんまの意味だよ」



そのままの意味?


ますます訳がわからねぇ。


眉を顰めていると、榊が少し驚いたような顔で身を乗り出してきた。



「...歩って、もしかして結構鈍い?」


「あぁ?鈍いっつーか、そもそも俺、ここに来たばっかでなんも知らねぇし」


「にしても……ううん、何でもないや。
分からないなら、少し説明するね」



ポケットに手を突っ込んだ榊は、手すりに寄りかかって空を仰ぎながら話し始めた。