「まさか…榊、お前…」


「──うん、その"まさか"だよ」



俺が言い終わる前に、榊が体をこちらに向けて笑った。



「僕が、歩を呼んだ張本人だよ」



俺を呼んだ張本人…つまり、"怪物"。


それは榊のことだったのか……?


まさか。

でも、そう考えれば全て辻褄が合う。


時に残忍で冷酷な、コイツだから。



「この学校の"怪物"は、お前か…」


「まぁ、ね。みんなからはそう呼ばれてるよ」



変わらない笑みを浮かべ、風に髪をなびかせながら言う榊。


その余裕そうな、能天気な顔に腹が立つ。