次の日。
「おはよー栗原君っ!」
教室に入った途端、榊真浩が近づいてきた。
相変わらずの仔犬顔。
コイツ……マジで同じクラスだったのか。
「ねーねー、腰治った?」
馴れ馴れしく話しかけてくる榊真浩。
何だよコイツ……
「治るわけねぇだろ。てか、話しかけんな」
「え?何で?」
何で、って……
言葉に詰まったのを誤魔化すようにくしゃりと髪をかきあげ、目を逸らした。
「……関わりたくねぇんだよ」
「…ふぅん」
あまり興味なさげに言った榊真浩は、俺の髪に目を留めた。
「栗原君のその髪って……地毛?」
「アホか。染めてるに決まってるだろ」
俺の髪の色は、赤。
最近染めたばかりだ。
「聞きたいことがそれだけなら、あっち行け。話しかけんな」
そう言ってシッシッと手を払うと、榊真浩は少し不服そうな顔をして俺から離れた。