「シン! シンってば」
甲高い声と共に、肩を揺すられた。
同時に現実に引き戻される。
「また寝てる。シンってほんと、よく寝るよね」
顔を上げると、横の机に座って覗き込む幼馴染と目が合った。
いつの間にやら授業は終わっている。
「ちょっともぅ、大丈夫なの? 冬眠でもしちゃうんじゃないかって心配だよ」
目が開いてもぼんやりしているシンに言いながら、幼馴染は机から飛び降りて鞄を掴む。
「シン。部活行くよ」
教室に差し込む夕日を受けて、幼馴染が赤く染まる。
またシンの思考が切り替わる。
赤く染まる幼馴染。
昔から幾度となく見て来たこの光景。
夢だと思うにはあまりにもリアルな光景が、シンを精神の深みへと誘う。
何故俺が。
この幼馴染を憎いと思ったことなどない。
この夢も、何かスクリーンを見ている風でもある。
でも視点と妙にリアルに手に残る感覚が、下手人は俺だと告げるんだ。
シンは恐る恐る自分の手の平を見た。
夕日を受けて、手の平は赤く染まっている。
剣道部に入ってからだ。
この手の感覚。
幼馴染と竹刀を合わせると、一瞬にしてそこは道場ではなくなるんだ。
「シンさぁ、一旦竹刀持つと、人が変わるよね。殺気をびりびり感じるよ」
そう言って笑う幼馴染を、シンは今日も思考の深みで殺すのだ。
*****終*****
甲高い声と共に、肩を揺すられた。
同時に現実に引き戻される。
「また寝てる。シンってほんと、よく寝るよね」
顔を上げると、横の机に座って覗き込む幼馴染と目が合った。
いつの間にやら授業は終わっている。
「ちょっともぅ、大丈夫なの? 冬眠でもしちゃうんじゃないかって心配だよ」
目が開いてもぼんやりしているシンに言いながら、幼馴染は机から飛び降りて鞄を掴む。
「シン。部活行くよ」
教室に差し込む夕日を受けて、幼馴染が赤く染まる。
またシンの思考が切り替わる。
赤く染まる幼馴染。
昔から幾度となく見て来たこの光景。
夢だと思うにはあまりにもリアルな光景が、シンを精神の深みへと誘う。
何故俺が。
この幼馴染を憎いと思ったことなどない。
この夢も、何かスクリーンを見ている風でもある。
でも視点と妙にリアルに手に残る感覚が、下手人は俺だと告げるんだ。
シンは恐る恐る自分の手の平を見た。
夕日を受けて、手の平は赤く染まっている。
剣道部に入ってからだ。
この手の感覚。
幼馴染と竹刀を合わせると、一瞬にしてそこは道場ではなくなるんだ。
「シンさぁ、一旦竹刀持つと、人が変わるよね。殺気をびりびり感じるよ」
そう言って笑う幼馴染を、シンは今日も思考の深みで殺すのだ。
*****終*****