二人三脚の楽しさは、正直私には分からなかった。
自分のペースで走れないし、ただでさえ暑いのに、二人でくっついて暑いし。
「城間さんは左から、俺は右からね。最初はゆっくり走って、あとは徐々にスピード上げていこう」
「分かった」
今日の体育の時間は体育祭に向けての自由練習。サボっている人もいる中、私のペアの志賀くんは真面目に練習するタイプだった。
私は練習はしないよりする方がいいタイプ(つまりどっちでもいい)なので、打ち合わせ程度に練習することになった。
いち、に、いち、に、と声を合わせて軽いペースで走ると、志賀くんが言った。
「城間さん、もうちょいペースあげても大丈夫?」
「50メートル、8.2秒だからそこそこ大丈夫。足手まといになったら引きずってね」
「了解!」
何故か志賀くんには笑われた。