「そっか...。ううん、こっちこそ急にごめんね」

半分泣きそうな里崎さんは、無理矢理笑ってそう言うと、自分のグループへと戻っていった。

「理沙〜、やっぱり二人三脚やめる〜!」

「どうした?ミキ」

「牧くん、城間さんとしか二人三脚出ないって言われたの...」

「ウソ、サイテー」

なんてやり取りは、2席しか離れていない私の耳にも届くわけで、気まずい空気が教室に流れた。

サイテーの言葉が向けられたのはどっちだろうか。ミキ理沙のグループの方を見ると、こっちを睨んでいたので、今回は私だろう。


「ヒロ、サイテー」

「奈子はほんと、面白いな」


どこがだ。

私のハッピー高校ライフを返せ!このキラキラ野郎が!

せめてもの反抗で、私の体育祭の種目は一気に人気を落とした二人三脚にしておいた。

ちなみにヒロは足が早いからとリレーに推薦されて、種目の順番上、二人三脚には出れないと分かった上での出場だ。


ヒロの分まで楽しんでやる!ざまあみろ!

ふん、と得意げに笑うと、ヒロは何故か呆れたような顔をした。