表立ったイジメはないけど、ヒロのことを好きな女子からは疎まれ恨まれ、ごく僅かのそうじゃない人にとっては私は厄介者らしく、とうとう7月まで友達が一人も出来なかった。
学校に来てまともに喋るのは、良くも悪くもヒロだけだったりする。
ヒロが女子と喋るのも私くらいなので、喋れば喋るほど状況は悪化するんだけど、まぁもういいかなって。
ヒロも私も悪くないし、中学のときもこんな感じだったから正直慣れたというのが一番正しい。
でも、わざわざ怒りと注目を浴びる必要はない。
二人三脚なんて目立ちそうな競技、キラキラ顔となんてやるわけがない。
「二人三脚はなんか人気種目らしいし、私は適当にリレーとかに出る」
「えー、二人三脚、絶対楽しいって。やろうよ。一緒に、ね?じゃなきゃツマンナイ」
「つまんないって子供じゃないんだから...」
ていうか、楽しい予感が全然しない。
「ま、牧くん!城間さんが出ないなら私と一緒に二人三脚でない?」
さっき、ミキと呼ばれてた女の子(里崎さん)が、ヒロにそう話しかけた。
おお、ナイス提案!
言い出したら聞かない所があるから、私が一緒に出るまで言い続けそうだし助かる!よかったね、ヒロ!
あぁ、それにしてもいいなぁ。ヒロは。女の子にこんな風に体育祭一緒にやろうなんて言ってもらえて...。
なんてちょっと羨ましく思いながら見ていた私とヒロの視線が一瞬重なった。
「奈子が出ないらしいし止めとく。ごめんね」
キラキラ顔はそう言った。