「ちょっと、ヒロ早い!早いし、手離して欲しいんだけど」

ずんずん廊下を歩くヒロに訴える。
一人で帰るならそれでもいいけど、それなら掴んでる手を離してほしい。

ヒロとは足の長さが違うんだから、私は小走りになるんだってば!

ていうか、目立ってるよー!勘弁してよー!

「ヒロ!」

さすがに怒って名前を呼ぶと、歩くペースはゆっくりになった。代わりに、握られてる手には力が込められて...ヒロさん、握りつぶす勢いじゃないですか?痛いんですけど。

「ヒロ、痛いってば」

「さっきの、なに?」

「さっき?」

「二人三脚のときから志賀と仲良くしすぎ」

「仲良く...見えた?」

そう聞き返すと、ヒロはちょっと振り返って小さく頷いた。

横目で私の様子を伺ってるみたいだ。そんなヒロの妙な行動なんて、今の私にはどうでもいい。

志賀くんと私が仲良く見えたことのほうが重要事項だ。

「そうなの、志賀くんと友達になったの!高校で初めての友達!仲良く見えたのかぁ、そっかぁ」

ということは、周りからも私と志賀くんは友達に見えたはず。

嬉しいなぁ。

そんな私にヒロは複雑な顔をしていた。