「ねー、次の時間、体育祭の種目決めるんだって」

「走るの遅いからリレーはパスだなぁ。ミキは何に出るの?」

「私はもちろん、二人三脚!」

「えー?あれって男女ペアで組まされるやつでしょ?なんでわざわざ......っ!!やっぱり私も二人三脚出る!」

「ダメー!タダでさえ競争率高いんだから」


体育祭の人気種目は二人三脚なのか。
...理由は分からないけど、今朝からその話は何度か耳にした。二人三脚、賞金でもでるの?


聞いてみたいけど聞けない。


高校一年、梅雨の季節も明けた7月。

私は教室の窓際前から4列目のベストポジションで、一人聞き耳を立てていた。

なぜなら私は友達がいないからだ。おそらく、この高校のほとんどの女子には嫌われている。


一応、言っておくけど私が意地悪だとか、奇怪な行動をすることは、入学以来一切なかった。


成績もいい方だし、運動もそこそこ。ついでに容姿もそこそこ。


原因は私にあって、私にない。


「奈子、体育祭さ一緒に二人三脚でよ」


この嫌味なくらい整ったキラキラ顔の幼馴染のせいなんです!