テストが終わり、少し浮足立ち気味な生徒たちでにぎわう廊下を並んで歩く。

「テストが終わっても、これから受験だと思うとなんか解放感が少ないよね」

梓が、少し顔をゆがめてぼそっと言う。
確かに、二年生の時まではテストさえ終われば、後は部活に遊びに、解放感たっぷりでいられたけれど。
これから、まだ大きな壁があると思うとだんだんと心に余裕もなくなる。
これが、受験という名のプレッシャーだろうか。

「そうだね。だけど、今日だけはちょっと羽根伸ばそうね!」

プレッシャーに負けそうな、弱い自分を励ますようにおどけてそう言うと、梓がにっこりと笑ってくれた。