日曜日。いつもなら私は家でのんびりと本を読んでいるはずだった。
が、私が今いるのは賑やかな駅前の喫茶店。
あの日、結局章平の押しに負けて一緒に出かけることになったんだ。
「ミア!早いね、待った?」
アイスティーを飲みながら本を読んでいた私の視界に
見慣れた茶色っぽい髪の毛が映った。
顔を上げると、そこにはチェックのシャツを着た章平がいた。
「いや、別に。」
こう答えると、章平はにっこり笑って向かいの席に腰掛けた。
「何にやにやしてるのよ。」
「いや?ミア可愛いな~と思って♪」
「うるさいっ!普段着なだけだから!!」
私は薄手の長袖のチュニックにミニスカートをはいていた。
いつも家ではスウェットなのだが、それはさすがにまずいと思い、
タンスの奥からひっぱりだしてきたのだ。
「それでさー、今日どっか行きたいとこある?」
「特にない。」
「じゃあ俺の好きなとこ行こう!!」
「変なとこだったら即帰るから。」
「いや、変なとこじゃないし・・・」
私達は喫茶店を出て、電車に乗った。
しばらくして着いたのは意外にも、小さな水族館だった。
「章平もこんなとこ来るんだ・・・」
「うん。意外?」
「いや、さすがに友達とはこんなとこ来ないだろうと思って。」
「いや、俺ここは一人でしか来たことないから。」
「え、一人で?」
「うん。一人で来た方が落ち着くし。なんか癒されるんだよね、ココ。」
「ふーん・・・」
そうして中に入ると薄暗い部屋いっぱいに青い光が広がっていた。
確かに、すごく穏やかな気分になる・・・。
「気に入った?」
「・・・うん・・・」
「それじゃ、いろいろ見に行こっか!!」
章平は満足そうな笑顔を浮かべていた。