「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
そんな言葉を交わし、私は短いようで長い通学路につく。
一緒に行く人なんていない。特に欲しいとも思わなかった。
「おはよう」
学校に着いてからもそんな言葉すらかけられず、私は自分の席に着き、
ただ一人。誰にも声もかけず、かけられず、本を読んでいる。
これが、「いつもどおりの私」なんだ。
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「やっと終わったぁ~」
「ねぇ、この後カラオケ行かない?」
そんな会話をしながらクラスメイトは教室を出て行く。
その後姿を見送り、しばらくして私も帰ろうと教室を出たときだった。
「ごめんね・・・私、章平とは付き合えない・っ」
「そっか・・ありがとな。」
そこで見たのは、走っていく女子と、
がっくりと肩を落とした男子の後姿だった。
男子はふぅ、とため息をつくとこっちに振り返った。
そして、私と目が合うと「見られてしまった」という表情を見せた。
「・・あの・・えっと・・」
「・・・ご愁傷様。」
「・・・え・・?」
私はそう一言だけ言うとその場を後にした。
そしてその日あの場面を思い出すことは一度も無かった。