「待って!!」
勢いよく飛び出した私の腕を先生が掴んだ。
先生は掴んだ手を離してくれない。
「あの……先生…」
「…待ってください……」
先生は私の腕を少し引っ張って私を自分の方に向かせた。
「……やっぱり泣いてる」
私は先生にじっと見られる事に耐えきれなくて顔を背けた。
そんなに優しさを見せないでよ…
こんな事されたら……
泣いてるって気づいてくれたりしたら…
私もっと先生が好きになる。
きっと私…今顔まっ赤だよ……。
先生は私の顔をあげさせて指で涙を拭ってくれた。
「何があったのかわかりませんが僕はあなたの担任です。いつでも相談してください。」
担任か…
担任だからなのかな~……
この優しさも。
「ありがとうございます…」
そういって私は先生の手を外して、精一杯の笑顔を向けた。
ひきつった笑顔だったかもしれない。
でも、先生に心配かけて先生の仕事を増やす事だけはしたくなかった。