声にならない声で、助けを求めた瞬間、ガラッと理科準備室のドアが開いた。


「えっ……せん……ちゃん」


ドアを開けたのはせんちゃんで、楠木君を睨んでいた。


「春に何してんの?」


そう言ったせんちゃんの声は、低く、怖かった。


楠木君は、顔を青くしながら逃げて行く。


「…せんちゃん、ありがと」



私は、せんちゃんの元まで駆け寄り、お礼を言った。



「うん、いいよ。
春が無事なら」


せんちゃんは、私の頭を優しくなでた。