いつの間にか、私は泣いていて、せんちゃんは優しく私の涙をぬぐった。


「せんちゃん、私…せんちゃんのことあきらめられない」


「うん」


「だから、心も体もズタボロに傷つけて
もしかしたら、あきらめれるかもしれないから」


わかってる。


そんなこと、せんちゃんは……


「春にそんなこと、できないよ」



絶対にしないって。


これは、ただただせんちゃんを困らせるだけの言葉だ。


「ごめんね、春
君だけは、大切なんだ。君だけは、失いたくないんだ」



そう言って、また髪の毛を撫でて、理科準備室から出て行くせんちゃん。


最後に、お決まりの言葉を言い放って。


「春、春を誰よりも愛してるよ」