俺は意気地なしだから、自分から 未来を遠ざけるなんてできない……だから、未来が愛想尽かして ここに来なくなればいいと思ってたのに 全然 そんなことしないんだよ。
前に "迷惑だ" って言った時なんか、何て言ったと思う⁇
"明智先生が私のことを嫌っていたとしても、私は先生のことが好きなままです。"
だってさ。
こんなに好きな人に想われてて 面倒とか迷惑とか、思うわけないだろ。
未来、本当 無自覚すぎ。
無自覚なのも可愛いから、いいんだけどさ……。
俺は 未来のことが大切だからこそ、こんなところで時間潰して 人生棒にふるとかをやめて欲しいんだよ。
未来が選ぶなら、俺は 未来が他の男と居ても構わないと思ってる……悔しいけど、俺には 未来を幸せにしてやることはできない。
未来が幸せになる道を選んでほしい。」
「とか言って、1ヶ月後には退院できんだろ⁇」
「その予定だよね。
後1ヶ月後で、できるところまで 歩けるようになんねーと 笑もんになる。」
「……ちょっと、トイレ行ってくるな。」
「あぁ、行ってらっしゃい。」
ガラガラーとドアが開いて、中から翔平さんが出てきた。
「今の話、聞こえてた⁇」
私が頷いたのを見て、翔平さんは話を続けた。
「あいつの記憶喪失、初めから嘘なんだよ。
医者に言われたから、信じたかも知んねーけど アイツ検査終わった後 自分は記憶喪失してることにして……って医者に頼んだらしい。
不器用なりに考えた、お前のための嘘だったんだ……許してやってくれ。」
「初めから、怒ってなんかいませんし……正直に今 迷ってます。
私はこのまま、自分の意思に従って 明智先生の側にいた方がいいのか……それとも、明智先生の意思に従って 明智先生から離れた方がいいのか。
でも、今は明智先生の側にいたいんです。
迷っているのは、これからのことで……今は自分の思い通りに動きます。
でも、今 中に入っちゃったら……あれですよね⁇」