「ねぇっちょっと待ってよっ」

立花は、止まろうとしない。
周りの目が気になる。
女の子たちはみんな振り返る。

「ねぇってばっねぇっ」

私は、大きな声を出して手を振り払った。
でも、彼の力は強くて手は離れなかった。

「お前さぁさっきからうるさいっ少しは、黙れねぇの?」

「だって、立花くんが……引っ張るから…」

「はぁ…………」

立花は、深い溜息をついた。

「いたっ……」

立花の手を握る力が強くなった。

「あぁわりぃ」

手がジンジンする。
立花は、頭をかきながら言った。

「あのさ、その…立花くんって私にだけ冷たくない?…。」

下を向きながら言った。

「そんなことどうでもいいだろ………」

「でも…………」

パッと上を向いた時立花は、どこか遠くを見ているような、悲しそうな目をしていた。

「た、ちばなくん?」

「どうでもいいだろっほらっ行くぞっ」

立花はまた歩き出した。
てか、なんで校舎の中が分かってるの?

立花は、普通に分かってるみたいだった。
トイレに行ってくると言って普通にトイレの場所まで行っていた。

「ねぇ?立花くん?」

「光太でいい…」

「光太くん?」

「君とかいらない」

「光太?あのさ、光太ってこの学校来たことある?」

「ないけどなんで?」

来たことないんだ………。

「だって、トイレの場所とか分かってたし…今だって私より前あるってるし…普通校舎案内だったら私より後ろとか横に歩かない?」

光太は、何も答えない。
何も答えないまま校舎案内は終わった。

その後の授業でも光太は私に話しかけて来ない。
こっちすら向かない。

何なんだろ?
私のこと嫌いなのかな?

私なんかしたっけ?


そんなことを考えているうちに学校は終わっていた。