それから、2か月後。1か月に1回の席替えで、俺はよもちゃんと席を交換した。

 それが、大きなミスだったなんて、あの時は思いもせず。

「神野くん、ここどうやってやるんですか?」

「ん?ここは…」

 神野秋空。
 クラスの中で、1番素性がよくわからなかった奴。

 そんな奴が、よもちゃんだけには愛想を向けて、よもちゃんも神野とだけ学校で話すようになった。

 そんな風にしたきっかけは、席が隣同士になったこと。
 俺が、よもちゃんと交換した席で、隣同士になった。

 よもちゃんは分からないけど、神野がよもちゃんを思っているなんて一発で分かる。

 それくらい、神野の行動は分かりやすくて、よもちゃんもそんな神野に心を開いてる。

 お似合いだって、思った心があった。

 でも、それを認めたくない心で押しのけて、でもやっぱりそうなんだろうって。

 でも、認めたくなんかないから、負けたくなんかないから、神野を勝手にライバルに決めつけた。

 よもちゃんを諦めたくなんかないから。
 絶対に守るって誓った女の子だから。

 だから、絶対に負けない。

 そんな俺の小さな決意。

 ねぇ、よもちゃん。
 いつかキミが誰かを好きになる思いを感じられますように。
 そして、願わくば、その思いが俺に向けられたらいいななんて、勝手に思うんだ。

好きな人 雷斗side* END