「蓬は、多分最強の鈍感だ。お前が本気なら、言葉で言わねぇとな」

「あ、朔夜さん!降りてきてたんですか?」

 駆け寄ってきたよもちゃんを、朔夜さんは立ち上がって迎え入れようとしたけど、よもちゃんの足は朔夜さんの前で止まる。

 そのことに眉をひそめた朔夜さんは、よもちゃんの腕を引っ張って腕の中に入れた。

「やるか」

 少しだけ振り返った朔夜さんの後に続くと、よもちゃんがぽいっと俺の方に投げ出された。

 慌てて受け止めると、朔夜さんが一瞬だけ俺を見て笑った気がした。

「雷斗くん?」

「っ何でもないよ」

 俺よりも低い位置から視線を向けてくるよもちゃんの頭を強引に撫でる。

 そうすると、何のためらいもなく抱き着いてきて…え!?

「あ、ごめんなさい…」

「い、いや謝らなくていいから…」

 俺が驚いたせいかよもちゃんはすぐに離れて行ってしまった。

 少し恥ずかしそうにしているよもちゃんにつられて顔が赤くなりそうなのを隠してそっぽを向く。