「蓬か?」
「え?」
「お前が自分の体を傷つけるときはイライラした時だ」
「え…あ、あはは…」
ごまかしも何も効かない。
大体、人まで当てられるって俺どんだけ分かりやすいんだよ。
朔夜さんは少しだけ笑って、俺の隣に座った。もちろん、地べただ。
慌てる俺に対して、朔夜さんは気にするなとじゃれて遊んでいるよもちゃんに視線を向ける。
「浩介のことが好きかって聞いた」
「…よもちゃんにですか!?」
「あぁ。無邪気に大好きだって返されたけどな」
一気に心が重くなったのが分かった。
そっか、ずっと会ってなかったとはいえ、幼馴染。
小さいころから思ってるなら、敵うわけ、ないか…。
「勘違いするなよ。あいつが言ったのは、幼馴染として、友達としてって意味だ」
「…え?」
「あいつは、恋愛とか興味ないんだよ。…興味を持てる余裕がなかったのかもしんねぇな」
中学時代のことを思えば当然なのかもしれない。
よもちゃんは、ずっと自分を守るために必死だったはずだから。
だから、恋愛ごとにまで興味が持てなかったのも十分わかる。