「お前、なかなかやるじゃねぇか」

「見直したぜ」

 肩をたたかれたり、好感の持てる笑顔を向けてきてくれたり…どういうことだ?

「試験だったんだよ。お前を試した」

 現総長の声に、俺の周りに集まっていた人の1部が道を開ける。

 できた1本道をずかずかと歩いてきた総長は、また俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でまわす。

「まず、度胸試しに階段を登れるかを見た。そして、蓬を助けるかどうか。自分の身を犠牲にしてもな。お前はそれに見事合格したんだよ」

「…試験?」

「騙してごめんなさい」

 いつの間にか近くにいたよもぎちゃんは苦笑を浮かべている。

 さっきのは演技…だったらしい。

「嵐鬼は、こいつを守らなきゃなんねぇ。こいつを見捨てるような奴はここにいらねえってことだ」

 総長の晴れ晴れとした顔に、文句も何も言えなくなった。