「ご、ごめんなさい!!」

 よもぎちゃん勘弁してくれよ。よりにもよってこんなミスなんて…。

 現総長に頭を下げると、その頭を掴まれて思わずヒヤッとしたけど、そのまま頭を掴んだ手は、がしがしと撫でる手に変わった。

「よもが朔夜のこと総長って言ってるからだろ?気にすんな。とはいえ、朔夜、こいつはお前の代を名乗るもんだ。お前がどうするか決めろ」

 おおらかに笑った現総長は、朔夜さんに向かって言うときにだけ、族の総長の顔をしていた。

「さぁて、よもお前の仕置きはまだ終わってねぇぞ」

 こっそり部屋から脱出を図っていたよもぎちゃんは、総長の言葉にぎくりとして、次の瞬間部屋から飛び出していく。

「おらおら、待てクソちび~!!」

 …ただの危ない現場だとしか思えない。

 やれやれといったような眼鏡をかけた人が、後を追いかけて行って、部屋には俺と朔夜さんだけになる。