「総長は2階です。ついてきてください」

 よもぎちゃんの言葉に我に返って、後を追いかける。

 階段に足をかけた瞬間、今まで感じなかった威圧に身動きが取れなくなる。

 なんだよこれ。さっきまでこんな雰囲気感じなかったのに。

 周りを見ても、相変わらず話してるだけ。
 でも、そのわずかな視線が、言葉が俺を品定めするみたいにとらえて離さない。

 よもぎちゃんは階段を半分ほど登ったところで振り返っていた。

「どうかしましたか?」

 分かってるのに、分からないふりをしてる。

 すぐに分かった。よもぎちゃんの顔がどこか笑みを浮かべている。

 動けない。

 息が詰まる。

 苦しい。

 逃げたい。

 階段にかけた足を下ろそうとして、不意に留まる。