「…蓬、今までずっと助けてくれてありがとな」

「それは、私のセリフですよ」

 あきくんのセリフはそっくりそのままお返しします。

 私は、あきくんに支えられていろんなことが出来た。
 お父さんを助けることも、ここにいまいることも、全部あきくんのおかげです。

―助けられてばっかなのに、蓬は首を横に振る。

―蓬がいたから、施設が潰れずに、俺は高校に行こうって思えたのに。
―親父に会えたのだって、全部蓬がいてくれたからだ。

「…今度は、俺が蓬を引っ張っていく」

 差し出された手。

 その手はいつも私を連れ出してくれる。ここにいれば大丈夫だって、そう伝えてくれる。

「私は、あきくんを支えられますか?」

―当たり前なのに。むしろ、支えてもらってばっかりだろ。

―背中を押す手も、言葉も、いつも暖かい。

「当たり前だろ。お前がそばにいてくれるから、俺は頑張れるんだ」