公園が見えてきて、少しホッとする。

 ダメだって分かってるけど、携帯を取り出して蓬にメールを作成する。

 それを送ろうとしたところで、ふと視線を上げて足を止める。

 公園の前にバイク。その近くで向き合う男女。

 …雷斗と、蓬…?

 思わず身を隠して様子をうかがう。

 なんで2人がここに…。それに、なんだあの雰囲気。

 少し緊張気味で、どこか甘いような、そんな雰囲気。

 雷斗の横顔はどこか悲しそうで、でも優しい顔だ。蓬は何とも言えない顔をしてる。

「よもちゃん、俺と、付き合ってくれませんか?」

 聞こえてきたのは、間違いなく告白のセリフ。蓬の表情は変わらない。

 雷斗、あいつ…。

 ライバルだとは思っていた。だけど、どこかやっぱり余裕はあって、大丈夫だっていう自信の方がずっと大きかった。

 でも…。目の前で告白されているところを見るとやっぱり焦る。

 手に力が入る。ふと視界に入った携帯の画面は、送信完了の文字。

 しまった、メールこのタイミングで!?

 焦っても取り消せるはずもなくて、ため息をつく。

 タイミング悪すぎるだろ。雷斗にも悪いことしたな。