朝は案外早くて、目覚ましという名の朝飯コールで飛び起きた。

 随分早い時間に現場に向かっていく人たちを見送りながら、その人たちに交じる親父を見る。

 ひょろひょろだし、この中では最年長のはず。なのに、過酷な現場で働き続けるのは、自分への戒めと、俺のため。

「…父さん!」

「ッ!?…秋空」

「…今度は、彼女、連れてくるから!…だから、あんま遠く行くな」

「…上司の人に、掛け合ってみるよ」

「いってらっしゃい」

「…いってくる」

 親父は、若い人たちに交じって現場に向かっていく。その後ろ姿を見送って、寮の中に戻る。

「秋空くん、バスまでは時間があるから管理室に来るかい?」

「あ、はい。荷物だけ持ってきます」

 管理人のじいさんに声をかけられて、一旦親父の部屋に戻る。

 持ってきたスポーツバックを肩にかけて、部屋を出ようとして少しだけ振り返る。