悩んでいると、頭に手を置かれる。…え?

「大事にしてあげなさい」

「…当たり前だ。ばーか」

 なんでだろう。ほっとする。高校生にもなってなのに、なんか安心する。

 布団の中に戻っても、親父の手の感覚は離れなくて、緊張していた心が揺らぐ。

 あぁ、なんだ。俺、優しくされたかっただけなんだ。親父に、甘えたかっただけなんだ。

 急に落ちていく意識に身を任せて目を閉じる。

 怯えたいただけの自分にけじめはついた。だから、戻ったら約束を果たす。

 キミを迎えに行けるように。