「積もる話もあるだろうし部屋に行こうや」
「秋空、荷物持ってやるよ」
また男の人たちに背を押されて、寮の中に入っていく。親父の部屋にたどり着くと、ぽいっと2人だけ放り込まれる。
「夕飯出来たら教えてやっからな。ゆっくり話せや」
親父と同室らしい人まで気を使って部屋を開けてくれた。
親父は俺を気まずそうに見つめるだけ。
「…すまなかった」
「っ…それは、なんの謝罪なんだ?」
「お前を、母さんを傷つけて…」
「…それは、母さんに謝ってくれよ。俺は、別に」
怒りたいのは、俺を見捨てたことじゃない。
一方通行な連絡しかよこさなかったことなのに。
親父は頭を下げたまま顔を上げない。