嬉しさよりも安心が強かったのか、施設長は泣きはじめてしまいました。
そんな姿を見守っていると、外がちょっとだけ騒がしいことに気づきました。振り返ると、思わず目を疑ってしまいました。
そっと立ち上がり、掃き出し窓から外に出ると、小さな子たちや中高生に囲まれている彼は、私を見ると気恥ずかしそうにソッポを向いてしまいました。
「来るって信じてました」
「…どの口がほざいてんだよ」
「この口ですね」
「うるせ」
憎まれ口を叩くあきくんは、深呼吸するとこっちに向かってきました。
なので、私が外に出て部屋の中で呆然としている施設長にあきくんの背を押す。
「ついて来てくんねぇの?」
「親子の再会に水差せませんから」
あきくんは少し戸惑いながら施設長のお部屋に足を踏み入れました。
窓をそっと閉めて、背を向ける。