太陽が傾き始めて、少し紅く染まる公園。子どもたちが親に手を引かれて家路に急ぐ。

 そんな公園の入り口で、バイクを止めた雷斗くんは、私がバイクから降りると一旦スタンドを立ててバイクから手を離す。

「…どうしてここに?」

「ここからなら1人でも帰れるよね」

「…はい」

 優しさなんだってわかる。

 雷斗くんの言葉の後にどうなるのか、雷斗くんはもうわかってる。だから、ここに来たんだ。

 雷斗くんは、私を見つめて笑う。楽しそうに、懐かしむように。

「初めて声をかけたの、中3だったね」

「…はい。いきなり声をかけてきたからびっくりしました」

「ごめん。あの時はさ、どうしても家から離れたくて、苦しかった。…でも、嵐鬼に入れてもらって、朔夜さんやよもちゃんに助けられた。…いつくらいかもう、忘れちゃったけどさ、よもちゃんと一緒にいるのが、すごく楽しくて、いつの間にか目で追いかけてた」

 雷斗くんは言葉を区切ると、真剣な表情で私を見つめる。