階段を下りて、受付のあるフロアまで降りると、雷斗くんはそのまま受付に向かう。
抜けるって、ここを出るって意味だったんだってことに今更気づくけど、止めることもできないままに受け付けで料金を払って外に出る。
「雷斗くんどこに行くんですか?」
「2人になれる場所」
「え?」
「…けじめ、つけたいんだ。自分の気持ちに」
振り返った雷斗くんの表情は悲しげで、何もいえなくなる。
自分の気持ちにけじめって、そんなのまるで雷斗くんが私のこと…。
「よもちゃん、お願いします。少しだけ俺に時間をください」
雷斗くんはもう先がわかっているように、悲しそうな顔で言う。そんな思いを踏みにじることなんかできなくて、雷斗くんの運転で場所を移動しました。
バイクに乗っている間会話はなくて、雷斗くんの背を見つめることしかできない。
雷斗くんは、いつからそんなことを思っていたんだろう。私は、その間何をしていたんだろう。
考えてもわからないことを考えて、景色は変わっていく。
やがてたどり着いたのは、家から程近い、公園でした。