「やっぱりこっちがいいです…」

「え、あ…なら俺下で寝るから」

「あきくんとがいいです!」

「ッ…」

 こいつ、マジで襲うぞ…。結局許してる俺も俺だけど…。

 抱き着いてきてる蓬はさっきから一言も話さない。

 何となく頭を撫でてるけど、どうしたんだ…?

「…蓬、どうした?」

「…怖かったんです。あきくんが全然目を覚まさないから。剣人さんは大丈夫って何回も言ったのに、全然信じられなくて、このまま起きないんじゃないかって」

「…」

 頭を撫でてた手が止まる。

 …俺が病院に運ばれてからのことだよな…。蓬、ずっと手握ってたのか…?

「このまま、仲直りできなかったらどうしようって。怖くて…」

「…心配かけたな」

「ほんとですよ。って、私も、お父さんと剣人さんにバカって拳骨もらいましたけど」

「戦おうとしたから?」

「相手考えろって、言われました」

「当たり前だ。…蓬、ありがと」

「…はい」

 泣いたまま笑みを浮かべた。頬に付いた涙をぬぐってやると、また抱き着いてきた。