「あきくん、大丈夫ですか?」

「大丈夫だ」

 正直、今の状況の方が大丈夫じゃないけど。

 蓬の部屋で、2人きりだ。蓬は平気なのかよ…。

 まぁ、俺がベッドを借りて、蓬が布団を引きずってきたから一緒の布団に入ってるわけじゃないけど、十分心臓に悪い。

 豆電球が1つついただけの薄暗い部屋。近くに好きな奴がいて…。

 気が狂いそうなのを、抑え込んで知らないふりをする。

「…あきくん、ごめんなさい」

「何謝ってんだ?」

「お父さんのこと、もっと早く伝えてなくて」

「あれはっ…。俺こそごめん。あんな言い方して、思ってもないこと言っちまった」

「…嫌われてたって思ってました」

「嫌うわけ、ねぇだろ」

 何回お前に助けられて、勇気づけられてると思ってるんだ。それに、何回お前に惚れてると…。

 絶対に言えないけど、日に日に思いが高まっていく。蓬がごそごそ動いてるのかさっきからなんか音がする。

「蓬?…は?」

 なんか布団に入ってきた。…はぁ!?