「よも、私のもあげる」

「蓬が無事に卒業できるように」

「輝星さん、凪さん…。ありがとうございます」

 輝星さんと凪さんからもいただいてしまいました。…制服のボタン付け替えちゃいましょう。

「よも、俺のも忘れんな!」

「焔さんもありがとうございます」

 手にもう1つボタンが増える。なんだかものすごく豪華なボタンに見えちゃいますね。

 4つのボタンをぎゅっと握りしめる。

 ずっと、私を守ってくれた人たちの思い。もう、学校でも、嵐鬼でも会えないから、こんな風にお守りをくれるのは何だか心強いです。

「よもちゃん、よかったね」

「雷斗、お前はこれだ」

「え!?」

 雷斗くんの目の前にいきなり差し出されたのは、嵐鬼のピアスです。それは多分、朔夜さんの物のはずです。…どうして。

「いつまでも俺を追いかけるのはやめろ。お前はもう引っ張っていく立場だ。お前がぶれれば、下がぶれる」

「ッ…」

「雷斗、不安ならいくらでも連絡よこせ。でもな、もう俺のことを総長と呼び間違えるな。総長はお前だ。いいな」

「…はい!」

 すっと強い意志を秘めた瞳で朔夜さんを見つめる雷斗くんは、雰囲気が全然違っていて。

 嵐鬼の総長だって、失礼ながら初めて感じました。朔夜さんも気づいたのか、笑みを浮かべ、雷斗くんの肩をたたきました。