よもの忠告を無視して酒を一気に飲んだ俊也はまた伸びる。

 たっく、酒弱いくせに飲みやがる。

 よもはあーあと言わんばかりに俊也にバスタオルをかけた。

「でも、俊也さんがいなかったら、嵐鬼はなかったわけで、そうしたら今いる嵐鬼の人たちとも会えなかったんですよね」

「まぁ、そうだな」

 俊也のおかげというのは癪だけど。ある意味よもがこうして育ったのも嵐鬼のおかげだ。

 そう考えると俊也もあんまりいじめちゃだめだよな。

「その番長さんって今でも交流あるんですか?」

「いや、番長自衛隊行っちまって、なんか連絡途絶えた。でも年賀状は来るぜ」

「まぁ、先輩なりのけじめでしょうね」

「懐かしいな。ほんと」

「よもぎちゃんは覚えてる?」

「はっきりとは覚えていませんが、何となくは」

 まぁ、2歳だし、覚えてる方が不自然だ。番長は結構よもにデレデレだったけど。

 よもはさりげなく秋空くんの隣に座って、俺たちに見えないように手を繋いでる。

 そんなところがかわいらしくて、勝手に頬が緩んだ。