「…いりません」
蓬は急に顔色を変えて、睨むように小包を見つめる。
その顔は恨んでいるようにしか見えない。
「蓬、受け取ってやれ」
「嫌です」
「蓬、母さんは、お前をずっと愛して…」
「そんなの、知らないよ。…だって、顔も知らないおばさんからのなんて、受け取りたくない」
気づいたら、手が出ていた。机越しに蓬の頬を叩くと、蓬は黙ったままうつむいた。
母親に向かって、顔も知らないおばさんなんて、晴野さんは一体どんな教育を…。
「ッあなたたちは!…なんで、押し付けるばっかなの?私は、今まで清牙さんと桃さんに育てられて…、清牙さんが私のお父さんなの!桃さんが、私のお母さんなの!!」
「蓬…」
「いきなり現れないでよ!いきなり現れて、親の顔なんてしないで!!私の家族を、壊さないで!!」
何も、かける言葉は出てこなかった。
14年はあまりに長くて、血のつながりがあるから大丈夫だと思っていた思いをいとも簡単に打ち壊した。