「み~つけた」

 なんかすごそうな奴に拳を向けた直後だった。

 前の方に知らねぇ男がニヤニヤしながら立ってる。そいつが見てるのは、俺だ。

 誰だあれ…。

 男の周りに人が来る。背後にも、横にも…。気づいたら囲まれていた。

「なんだよてめぇ!」

「あ?俺の手下がてめぇに世話になったみてぇだからよ。礼を返しに来てやった」

「は?」

「なぁ、盛り上がってるところ悪いが。俺たちは部外者だ。通してくれねぇか?」

「は、てめぇ逃げる気か!」

「やるなら勝手にやれ。俺らは関係ない」

 なんかすごそうな奴とその仲間が全くやる気のない顔をしてる。

 ニヤニヤ男はそいつらを見て、舌打ちする。

「一般人が、さっさと退け」

「お~。サンキューな」

「てめぇがどっかで売ってきたケンカだ。お前が片付けろ」

 すれ違いざまに言われた言葉にカッとする。

 すごそうな奴らが輪から外れていく。中心に残されたのは俺が1人。

 っは、やってやろうじゃん。誰だか知らねぇけど、こんなやつらぶっ倒してやる!

 拳を握りしめて、殴りかかっていった。