夏休みが始まる終業式。今日こそぶっ倒してやる!

 びびってたわけじゃねぇけど、あのすごそうな奴から忠告を受けてからあいつに襲撃をかけるのはこれが初だ。

 今は帰り途中。しかも奴は女に気を取られててこちらに気づいた形跡は一切なし!

 今こそ、チャンスだ!!

 物陰から飛び出して駆け出していく。誰も俺に気づいた様子はない。いける!!

「だから、言ったよな」

 もう少しのところで止められた手。俺の腕を掴んだのはすごそうな奴で、掴まれた手が痛い。

「俺の仲間に手出すときは考えろって」

 恐ろしく低い声が俺に降りかかる。

 なんだよこれ。なんで、こんなに怖いとか思ってんだよ。相手だって、まだ高1で、同い年の奴なんだぞ…!

「な、なんで…」

「お前、気づかれてねぇとでも思ってたのか?残念だけど、バレバレだ」

「ストーカー。いい加減にしなさいよ」

「剣人、あんた変なのに好かれたわね」

 まさか、気づいてたのか?気づいてて、気づかないふりしてて…。

 頭に血が上ったのがわかる。

 コケにしやがって。こいつら全員ぶっ倒してやる!!