「じゃあ、あの人はなんですか。あと、なんで雷斗くんのお母さんと結婚したんですか」

「…雷斗が蓬と同じ年齢だったからな。会社を継いでほしいと言うのもあったが、お前の相手として…」

「…はぁ、全部愛情の裏返しとかそういう落ちですか…」

 頭を抱えてしまった蓬に何と言えばいいのか分からなくなる。

 14年間も1人だった。
 娘との接し方など残念ながら皆無だ。そもそも子どもとの関わり方など…。

「…分かりました。私も、勘違いしていたみたいですね」

 ぼそっとどんだけ不器用なんですかと付け加えられたのは、聞かなかったことにしておいた方がよさそうだ。

 蓬は顔を上げ、苦笑を浮かべた。

「あなたのことは、きっとこの先も許せそうにない。でも、親に愛されていた事実はちゃんと心に留めておきます」

「蓬…」

「でも、もう変なおせっかいしないで?私、一緒に過ごす人は自分で見つけたいの」

 暗に秘書の存在を言われていることは嫌でもわかる。
 余計なお世話だったみたいだな。