彼女と再会したのは、1年後、まだ会社を設立していなかった時だ。
たまたま赤ちゃんを抱いた彼女と駅で出くわした。
『…その子は…』
『…あなたの子です。…ごめんなさい!勝手に産んで、私、この子をどうしても育てたくて…!』
彼女の腕に抱かれた赤ちゃんは、女の子で、彼女によく似ていると思った。
『…必ず』
『え?』
『必ず、あなたを迎えに行く!その子と、一緒に…だから、待っていてくれ!!』
赤ちゃんを見て、やっと決心がついた。
…でも。
『…ごめんなさい。婚約、したんです』
決心は遅すぎて、彼女は逃げるようにその場を立ち去って行った。