「そんなわけで、今でもこうしてつるんでるわけだ」
「剣人さん、1匹オオカミだったんですね…」
「あきくんがそれ言っちゃいますか?」
「よも、俺と秋空の1匹オオカミは違うだろ。俺は、好きで1人になってる奴。秋空は、1人が本当は嫌いな1人になってる奴」
「剣人さん!!」
秋空が真っ赤な顔で怒ってくるが、全然怖くねぇ。
よもも笑っていて、秋空の眉間のしわが深くなった。
「それより、やっぱりお父さんかっこいいです」
「よも、お前はそれが聞きたいだけだろ」
「えへ?」
かわいこぶっても意味ねぇって。清牙に撫でられたよもは嬉しそうに笑って抱き着いた。
くっそ、いつも清牙が徳するんだよな。
「じゃ、次私ね」
紅葉が手を上げる。先日無事に出産したばかりなのに、随分元気だ。
颯人の話だとストレスが溜まってるっぽいとも言ってたけど、桃がうまく相談にのってるみたいだし、大丈夫か。
そんな俺の心配もよそに、紅葉は話しはじめた。