そして、清牙の謹慎が明けた頃にはテスト1週間前だった。

「晴野くん、大丈夫?」

「災難だったね」

 教室に戻ってきた清牙は、ケンカをしたと伝えられたはずなのに一切疎遠にされることなく、逆に気遣われていた。清牙の人望の厚さがよく分かる。

 クラスメイト達から解放された清牙は、俺のところにまっすぐに来て、苦笑する。

「ばれると思わなかったな」

「あほだろ」

 逆になんでばれねぇと思うんだよ。ほんとにあほか。

 清牙は笑って、バイトの1人であるおばさんが病気になって入れなくなったから代わりがなぁなんて言って、また笑う。

 だけど、謹慎が伸びるのを覚悟で行ったんだと笑いが引っ込む。

 ほんとに、自分のことより相手のことばっかだな、清牙は。

 …ほっとけねぇ。なんか、しっかりしてるのに、目を離したらいつかとんでもないことをしでかしそうだ。