「姉ちゃん、ほんとにいいの?」
「ん?いいのいいの。遥人ほっとけないしねぇ」
段ボールに荷物を詰めながら、そんな話をする。もう何回目だっけこの会話。
母さんがいなくなって、もう1週間たった。やっと落ち着いてきました。
清牙さんと桃さんに改めてあいさつに行って、学校に話をつけて、やめて。転入の手続きもしてもらいました。
あきくんには、話していません。
…話せなかった。でも、あの約束だけは果たせるように。もう居場所もほとんど掴んでいます。これから向かう場所が、その場所。たまたまでしたが…。
父親の家に行くって手もあったけど、遥人のことを思うとどうしてもそれはできなくて、でもここにいると頼ってしまいそうだから、ここから離れると決めた。
行く先は、遥人の地元。ここから新幹線で3時間もかかる。
それくらい離れなきゃ意味ないですよね。
ただ、金銭的な面はどうにもならなくて、そこは父親がカバーすると意気込んでました。
遥人と母さんが住んでいた家の荷造りもこれでおしまい。
明日にはここを離れます。