寂しいのも我慢したのに、それなのにこんな知らない場所に連れてこられて、怖かったよね…。
遥人の座ってる側に回って、隣に座って抱きしめる。
目を丸くした遥人は、どこか安心したようにほっと息を吐く。
「ねぇ、一緒に文句言ません?」
「え?」
「母親にさ、寂しかったって、辛かったって、全部文句言ってさ。ちょっとだけ楽になるんです。私も、そのために会いに行ったんです」
「…いいのかな。言って…」
「いいんですよ。再婚の話だって、嫌なら、ふざけんなって言ってやればいいから。言って、過去に縛られるのはおしまい。前に進むの」
「…うん。俺ももうけじめつけたい」
視線を合わせると、遥人は顔を赤くして抱き着いてきた。
だから、頭を撫でて遥人が落ち着くのを待つ。
甘えたいのも我慢して、ずっと頑張ってきたんだよね。
だから、もう我慢しなくていいように。思う存分甘えさせた。あまりにも可愛くて思わず写真を取ったらものすごい勢いで消されちゃったけど…。