「…蓬、すまなかった」

「それは、何に対しての謝罪なんですか」

 また手が付けられなくなった食事。沈黙を破ったのは父親でした。

 顔を上げれば、父親は頭を下げていて、その姿を冷たい目で睨みつける。
 ゆっくりと頭を上げた父親は視線を逸らしてきた。

「お前の希望に添えなかったことへの謝罪だ」

「…そんなの、多分一生無理ですよ。あなたは、私のこと知らないんですから」

 希望に沿うって何?もともと、会いたくもなかったのに…。

 会うこと事態が希望に沿わないんだよ?
 分かってくれないよね…。あなたは。

「蓬、お前は勘違いしているんだ」

「勘違い?…何を」

「俺は、お前を忘れた日なんてなかった」

「ふざけないで!忘れた日がなかった?だったら、なんで14年間もほったらかしにしたの!?」

「蓬…」

 非難するような声。

 周囲を見れば何事かと視線を向けてくる人たちが大勢いる。

 席に座るけど、怒りは収まってくれそうになかった。