お店の人は困ったように私たちを見つめてきている。
多分、次の料理が運べないからでしょうね。
…お店の人を困らせるのは、よくないですね。
えっと、確か1番外側の食器を使って食べるんですよね。
ぎこちない動きで目の前に出された物を口に運ぶ。
でも、味なんて全然しなくて、無理矢理飲み込む。
「…おさげいたします」
何とか食べ終えた途端にやって来た男性が、空になった食器をさっさと片付ける。
すぐに次の料理が来たところを見ると、やっぱり困らせていたようです。
慣れない場所で、会いたくなかった人を前にして、ストレスはピークでした。
口に運んでいるのが何なのかも分からなくて、ただ無理矢理喉に通す。
空になった食器が下げられて次が来る。
それを何度も繰り返していくうちに食べ物を受け付けなくなった体は、ただ吐き気との戦いになる。