「何でもいいから、よもちゃん行くよ!」
「あ、こうちゃんも一緒がいいです!」
「こうちゃん?」
よもちゃんを何とか連れ出そうとしていた奴が、怪訝な顔で俺を見る。
男にこうちゃんと呼ばれたのが気持ち悪くて、思わず睨んだ。
「蓬、危ねぇだろ」
「あ、朔夜さん」
よもちゃんが抱っこされる。その姿が、4歳の時の姿に重なって見える。
「…お前も来い」
「え?」
「こうちゃん、朔夜さんはここの総長さんですよ。総長さんの言うことには絶対です」
そんなことを言いながら、よもちゃんは連れて行かれる。呆然と突っ立っていると、背中を押される。
「総長とよもちゃんの言うこと、聞いといたほうがいいと思うけど?」
そんなことを言うのはさっき俺をこうちゃんと言った奴で、気に食わなかったけど、ここのトップに逆らうのはためらわれて、背中を押されて歩き出す。
友達は、のちの試験で見事に落ちたと知ったのは、正式に嵐鬼に入った時だった。