「…こうちゃん?」
あまりに懐かしい呼び方に一瞬呆ける。服を引っ張られて顔を向けると、女の子がいた。
その女の子は、俺の顔を見た瞬間、ぱぁっと笑顔を咲かせる。
「え…?」
「やっぱりこうちゃんなんですね!わぁ、久しぶりです!」
「え?…よ、よも…ちゃん?」
「はい!」
突然すぎる再会にどうしたらいいのかわからない。というより、なんでお化けみたいに顔隠してんだ…?
「って、よもぎ!!お前なに紛れ込んでんだよ!!!」
「あ、お邪魔してます。焔さん」
「お邪魔してますじゃねぇよ!!さっさと朔夜のとこ行け!!」
さっきから指示を出していた人が、よもちゃんの姿を見て驚いて怒鳴る。
そんなことも気にせずに俺の手を握って上下に振るよもちゃんは、あの時と全然変わらない笑顔で笑う。
「よもちゃん、今からケンカするから!危ないって!!」
「え?ケンカはいけないですよ!!」
「ケンカじゃなくて、試験だ、し・け・ん!!」
コントのようなやり取りにあっけに取られる。
…よもちゃん、まだここにいたんだ…。